宅建業の専任の宅地建物取引士とは?設置義務・人数基準・欠格事由を行政書士が解説
宅地建物取引業(宅建業)を営むには、事務所ごとに一定数以上の「専任の宅地建物取引士」を配置しなければなりません。しかし「専任」の判断基準や必要人数、資格を失う欠格事由については誤解も多く、免許取得後に指摘を受けて慌てるケースも少なくありません。本記事では、専任の宅地建物取引士に関する法律上のルールと実務上の注意点を、行政書士がわかりやすく解説します。
専任の宅地建物取引士とは
宅地建物取引業法第31条の3は、宅建業者に対し、事務所その他一定の場所ごとに、業務に従事する者の数に応じた数の「成年者である専任の宅地建物取引士」を置くことを義務付けています。これは、不動産取引という専門性の高い分野において、契約内容や重要事項の説明を行う際に、常に有資格者が関与できる体制を確保し、消費者を保護することを目的とした制度です。
単に宅地建物取引士の資格を持っているだけでは足りず、後述する「専任性」の要件を満たしていなければ、宅建業法上の専任の宅地建物取引士として認められません。この点を軽視したまま開業準備を進めてしまうと、免許申請の段階で書類の不備を指摘されたり、開業後に是正を求められたりすることがあります。
設置が必要な人数の基準
専任の宅地建物取引士は、事務所において宅建業の業務に従事する者5名につき1名以上の割合で設置する必要があります(宅建業法施行規則第15条の3)。たとえば、事務所の従業者が7名であれば専任宅建士は2名以上、12名であれば3名以上が必要になる計算です。
代表者であっても宅地建物取引士であり、実際に業務に従事していれば人数にカウントできます。一方、パートタイムやアルバイトであっても宅建業の業務に従事する者としてカウントされる場合があるため、事務所の人員構成を正確に洗い出したうえで必要人数を計算することが重要です。
従業者数の増加などにより法定数を満たさなくなった場合は、2週間以内に必要な措置(専任宅建士の増員等)を取らなければならないとされています。人員体制に変動があったときは、その都度基準を満たしているかを確認する習慣を持つことをおすすめします。
「専任」と認められるための要件
常勤性
専任と認められるためには、その事務所に常時勤務し、宅建業の業務に専ら従事できる状態であることが必要です。原則として、通常の勤務時間中はその事務所に勤務していることが求められるため、他の事業所と掛け持ちしている場合や、勤務実態が乏しい場合には専任性が否定される可能性があります。
専従性
専任宅建士は、宅建業以外の業務と兼務することも原則として認められません。たとえば、他の法人の代表取締役や常勤役員を兼ねている場合、その職務の性質上、宅建業の事務所に常時勤務することが実質的に困難と判断され、専任性が否定されることがあります。ただし、同一事業者内で宅建業と密接に関連する業務を兼務する場合など、一定の例外が認められるケースもあるため、個別の事情に応じた確認が必要です。
通勤が著しく困難な遠方に居住している場合や、社会保険の加入状況から常勤性に疑義がある場合など、実態面から専任性を否定されることがあります。名義だけを借りるような形での専任宅建士の設置(いわゆる名義貸し)は宅建業法違反であり、厳しい行政処分の対象となります。
専任宅建士になれない場合(欠格事由)
宅地建物取引士としての登録や、専任の宅地建物取引士としての就任にあたっては、一定の欠格事由に該当しないことが前提となります。代表的なものとして、次のようなケースが挙げられます。
- 成年被後見人・被保佐人など、一定の事由により宅地建物取引士の登録を受けられない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から一定期間を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員等に該当する者
- 過去に宅地建物取引士の登録消除処分を受け、一定期間を経過していない者
これらの欠格事由は、免許申請時の審査だけでなく、免許取得後に専任宅建士を交代させる場合にも確認が必要です。就任予定者について事前にチェックしておくことで、後から手続きがやり直しになる事態を避けられます。
なお、これらの欠格事由は宅建業者本人(法人の場合は役員)にも共通して適用される部分が多く、専任宅建士だけでなく経営陣についても事前に確認しておくことが望ましいでしょう。開業準備の初期段階で、就任予定者と経営陣の双方について欠格事由に該当しないかをチェックしておくことで、免許申請の直前になって計画の見直しを迫られるリスクを減らすことができます。
専任宅建士が退職・異動した場合の対応
専任の宅地建物取引士が退職や異動によって不在になった場合、宅建業者は2週間以内に後任者を補充するなど、法定の人数基準を満たすための措置を取らなければなりません。また、専任宅建士の変更は宅建業法第9条に基づく変更事項にあたるため、変更が生じた日から30日以内に免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)へ変更届出書を提出する必要があります。
専任宅建士が不在の状態を放置したり、変更届出を怠ったりすると、指示処分や業務停止処分の対象となるおそれがあります。人事異動や退職が決まった時点で、早めに後任者の要件確認と届出書類の準備に着手することが望まれます。
行政書士に依頼するメリットと費用の目安
専任の宅地建物取引士に関する要件は、人数基準・専任性の判断・欠格事由の確認など多岐にわたり、事務所の実情によって判断が分かれる部分も少なくありません。行政書士に依頼することで、次のようなサポートを受けることができます。
- 就任予定者が専任性・欠格事由の要件を満たしているかの事前確認
- 必要人数の算定や事務所体制についてのアドバイス
- 専任宅建士の変更届出書をはじめとする各種書類の作成・提出代行
- 免許申請から開業後の変更手続きまでの一貫したサポート
専任宅建士の変更届出の代行費用は事務所によって幅がありますが、目安として数万円程度からの設定が一般的です。免許申請そのものの代行を含めるかどうかによっても総額は変わってくるため、依頼前に見積もりを確認することをおすすめします。
専任宅建士の在籍を証明する添付書類
免許申請や専任宅建士の変更届出にあたっては、単に宅地建物取引士証の写しを提出するだけでなく、常勤性・専従性を裏付ける資料の添付を求められることがあります。具体的には、次のような書類が代表的です。
| 書類名 | 目的・内容 |
|---|---|
| 宅地建物取引士証の写し | 有効な資格保有者であることの確認 |
| 住民票の写し | 居住地から通勤可能な範囲かの確認 |
| 健康保険被保険者証の写し等 | その事務所を通じて社会保険に加入し、常勤していることの確認 |
| 専任の宅地建物取引士設置証明書(誓約書) | 他の兼業がないことなどの誓約 |
これらの書類は免許権者(都道府県)によって様式や運用が異なるため、事前に管轄窓口の最新の案内を確認しておくことが望ましいです。書類の不備は審査の遅延につながるため、余裕を持って準備を進めましょう。
まとめ
専任の宅地建物取引士の設置は、宅建業を営むうえで欠かすことのできない基本要件です。人数基準や専任性の判断を誤ると、免許取得の遅れや行政処分のリスクにつながることもあります。専任宅建士の要件確認や変更届出でお悩みの際は、無料相談をご活用ください。LINEまたはお問い合わせページから、お気軽にご連絡いただけます。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断は専門家にご相談ください。

