口約束では権利が守れない理由

人間関係を大事にしたい気持ちはわかりますが、ビジネスや金銭の問題では、口約束だけでは危険です。その理由を説明します。

証拠がない

後になってトラブルが起きた場合、「こういう約束だったはずだ」と主張しても、証拠がなければ、相手方の言い分が通ってしまう可能性があります。裁判になった場合、証拠がない主張は認められません。

内容が曖昧・記憶違い

時間が経つと、人の記憶は曖昧になります。「いつまでに支払う」「どのレベルの品質」など、細かい条件が異なる記憶のままになることもあります。契約書があれば、そうした曖昧さを防げます。

相手が約束を忘れる

相手が悪意なく、約束したことを忘れることもあります。特にビジネス上の取引では、複数の契約が並行していることもあり、口約束は忘れやすいのです。

契約書を作ることのメリット

契約書を作成することで、多くのメリットが得られます。

トラブル防止(事前に条件を明確化)

契約書を作成する過程で、お互いが「何を約束するのか」「どのような条件か」を一つ一つ確認します。これだけで、多くのトラブルを事前に防ぐことができます。

証拠として使える

トラブルが起きた場合、契約書は強力な証拠になります。「こういう条件で合意していた」という事実が、客観的に証明されるからです。

相手とのコミュニケーションが整理される

契約書を作ることで、言葉だけでは伝わりにくい条件が、正確に相手に伝わります。その結果、相手も「自分たちはこういう約束をしたんだ」と認識が統一されます。

少額の取引でも契約書は大事

「たったこれだけの金額だから」と軽く考えていると、後で大きなトラブルになることがあります。特に友人や知人との取引では、金額の大小に関わらず、契約書を作ることをおすすめします。

契約書に必ず書くべきこと

契約書を作成する際、必ず含めるべき項目があります。

当事者の特定

契約の当事者が誰なのかを明確にします。氏名(法人の場合は法人名)、住所などを記載します。個人で複数の住所を持つ場合は、本籍地と現住所の両方を記載することもあります。

契約の目的・内容

何の契約なのかを明確に書きます。「AさんはBさんに売却する」「Cさんはコンサルティング業務を提供する」など、契約の内容を具体的に記載します。

代金・支払方法・期日

金銭の授受がある場合は、金額、支払方法(銀行振込、現金払い等)、支払期日を明記します。「支払方法」を曖昧にしておくと、後でもめることがあります。

期間・解除条件

契約の有効期間(いつからいつまで)と、契約を打ち切るための条件があれば、明記します。特に継続的なサービス提供の場合は、解除条件が重要です。

損害賠償・違約金条項

契約に違反した場合の罰則を定めることで、相手方の遵守意欲が高まります。「代金支払い遅延の場合、1日につき0.1%の遅延損害金を支払う」といった条項があると、紛争の解決がしやすくなります。

管轄裁判所

万が一訴訟になった場合の裁判所の管轄を定めておくと、後々のトラブル解決がスムーズです。「さいたま地方裁判所の管轄に属する」という記載があると、紛争が起きた時に、どこの裁判所に訴える必要があるかが明確になります。

契約書の注意点―印紙税と相手の条件

⚠ 注意:印紙税に気をつける

金銭の授受を伴う契約書には「印紙税」がかかる場合があります。売買契約書であれば、金額に応じて200円~60万円の収入印紙が必要です。印紙税を払わないと、罰則を受けることもあります。契約書を作成するときは、必ず印紙税の金額を確認してください。

⚠ 注意:相手方から提示された契約書はそのまま押印しない

相手が用意した契約書は、相手に有利な内容になっている可能性があります。例えば、違約金の金額が一方的に高い、解除条件が相手だけに都合よく設定されている、などです。必ず契約書の内容をよく確認し、自分たちの権利を守る修正を加えてから、押印してください。

行政書士に契約書作成を依頼するメリット

契約書の作成は、自分たちで行うこともできますが、法律知識がないと、重要な条件を落としてしまうこともあります。

行政書士に依頼すれば、法的にしっかりした契約書を作成してもらえます。特に金額が大きい取引や、複雑な条件がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。