遺言書がない場合の相続手続き|相続の流れを行政書士が解説
遺言書がない場合、相続人たちが集まり、財産をどのように分けるかを話し合う「遺産分割協議」が必要になります。この過程を理解することで、相続手続きを円滑に進めることができます。相続の全体フロー、注意点、期限のある手続きについて詳しく解説します。
遺言書がない場合は遺産分割協議が必須
遺言書がない場合、相続人の間で財産の分け方を決める必要があります。
これを「遺産分割協議」といい、相続人全員の合意が必須です。この協議がないと、各種の名義変更手続きが進まず、相続が完了しません。
遺言書がない場合の相続手続きの流れ
遺言書がない場合の相続手続きは、大きく以下の5つのステップに分かれます。
①相続人の確定(戸籍収集)
まず、被相続人の出生から死亡までの全戸籍を集め、誰が相続人なのかを確定します。
配偶者がいるか、子どもがいるか、親は生存しているか。これらを正確に把握することが、すべての出発点です。
②財産の把握(財産目録の作成)
被相続人が残した財産をすべて洗い出します。
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金(銀行・信用金庫)
- 株式・投資信託
- 自動車
- 生命保険金(受取人が指定されている場合を除く)
- 借金などの債務
財産と債務の両方を正確に把握することが重要です。
③相続方針の決定
相続人各自が、相続をどのような形で受け入れるかを決めます。
- 「単純承認」:すべての遺産を相続
- 「相続放棄」:遺産・債務ともに一切相続しない
- 「限定承認」:プラスの財産の範囲で債務を負担
相続放棄は死亡から3か月以内に家庭裁判所に申告する必要があります。
④遺産分割協議(相続人全員の合意)
相続人全員が一堂に集まり(実際には書類のやり取りでも可)、誰がどの財産をどれだけ相続するかを決めます。
民法で定められた「法定相続分」を目安にしますが、相続人全員が合意すれば、どのような分け方でも構いません。
⑤遺産分割協議書の作成と各種名義変更
合意が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」として書面化します。
この協議書をもとに、不動産の相続登記、銀行口座の名義変更、株式の移転などを進めます。
- 相続人全員が参加することが絶対条件です。一人でも欠けると協議は無効になります。
- 協議の内容は必ず書面化し、全員の署名と実印の押印が必要です。
- 協議後に「やっぱり違う分け方にしたい」となった場合は、全員の合意で協議をやり直す必要があります。
遺産分割協議がこじれやすいケース
すべての相続が円滑に進むわけではありません。以下のようなケースでは、協議がこじれる傾向にあります。
- 相続人が多い場合(兄弟姉妹が多い、再婚による子どもがいるなど)
- 不動産が複数ある場合(分けにくい資産)
- 財産が複雑な場合(海外資産、複数の投資商品など)
- 相続人の一人が連絡がつかない、又は行方不明である場合
- 相続人の間に経済格差や感情的なしこりがある場合
期限のある相続手続き
相続手続きの中には、期限を守らないと大きなデメリットが生じるものがあります。
相続放棄・限定承認:3か月以内
死亡から3か月以内に家庭裁判所に申告しなければ、自動的に「単純承認」と見なされます。
相続税申告:10か月以内
相続税が発生する場合は、死亡から10か月以内に税務署に申告・納税します。
遺産分割協議書作成:期限なし(ただし早めが賢明)
法律上の期限はありませんが、銀行や役所での各種手続きを進めるために、できるだけ早く作成することが重要です。
相続人の一人が見つからない場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることで、その人を代理して協議に参加させることができます。勝手に除外することはできません。
行政書士に依頼できること
遺言書がない相続手続きは、書類作成から協議のサポート、名義変更の手続きまで、多くの部分を行政書士に依頼できます。
- 戸籍収集と相続人確定
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 各種名義変更書類の作成
- 相続放棄の手続きサポート(家庭裁判所申立)
まとめ
遺言書がない場合、相続手続きは複雑になりやすく、時間もかかります。
専門家のサポートを受けることで、ミスを減らし、スムーズに相続を完了させることができます。
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