なぜ生前準備が大切か

日本の家庭裁判所に相続に関する調停・訴訟を申し立てる件数は、毎年増加しています。

その多くの原因は、生前に何も準備していなかったことです。親が生きているうちに準備しておくことで、相続トラブルの大半を防ぐことができます。

準備①:財産の洗い出し・財産目録の作成

親がどのような財産を持っているかを正確に把握することが、相続準備の第一歩です。

対象となる財産

  • 預貯金:銀行、信用金庫、郵便局など複数の口座がないか確認
  • 不動産:土地、建物(複数の物件がないか)
  • 保険:生命保険の契約内容と保険金額
  • 株式:上場株式や非上場株式の有無
  • 借入金:銀行ローン、親戚からの借金など
  • その他:自動車、貸金庫の内容物など

実施の方法

通帳や権利書、保険証券など関連書類をすべて集めて、整理します。親が自分で作成してもよいですし、子どもと一緒に作成することで、より正確な把握ができます。

なぜこれが重要か

財産を正確に把握することで、相続発生後の分割がスムーズになります。また、隠れた借金の発見にもつながり、相続放棄や限定承認の判断がしやすくなります。

財産目録の保管場所を確認

財産目録を作成したら、その保管場所を家族に伝えることが重要です。もし親が亡くなった時に、財産がどこにあるのか誰も知らないという状態になると、大変です。

準備②:遺言書の作成

遺言書は、相続準備の中で最も効果的なツールです。

遺言書がある場合とない場合の違い

  • 遺言書がある:親の意思が明確に示されるため、相続人間のトラブルが大幅に減少する
  • 遺言書がない:相続人全員で協議が必要になり、時間と手間がかかる

自筆証書遺言と公正証書遺言

自筆証書遺言は、親が自分で手書きして作成する遺言書です。費用がかかりませんが、形式に誤りがあると無効になる可能性があります。

公正証書遺言は、公証人役場で作成する遺言書です。費用がかかりますが、確実性が高く、相続手続きもスムーズに進みます。

遺言書があると家族の手間・トラブルを大幅に減らせる

  • 相続人全員の協議が不要になる
  • 親の明確な意思が示されるため、後からの揉め事が少ない
  • 相続手続きが迅速に進む
  • 特定の人に特定の財産を譲ることができる

準備③:家族での話し合い

相続準備で意外と見落とされるのが、家族との直接的な話し合いです。

話し合うべき内容

  • 財産の分け方:誰が何を引き継ぐのか
  • 介護と葬儀:親の介護費用は誰が負担するのか、葬儀をどのようにするのか
  • 家業や実家:自営業を継ぐのか、実家をどうするのか
  • 遺言の内容:親がどのような希望を持っているか

話し合いの進め方

親が健在な時点で家族会議を開き、親からの希望を直接聞くことが大切です。親の思いが明確になれば、子ども側も納得しやすくなります。

相続人間のトラブルを防ぐ

事前に話し合うことで、後からの言い争いや誤解を防ぐことができます。親の明確な意思を聞いておくことで、相続発生後の相続人間の信頼関係も保たれます。

準備④:行政書士への相談(おまけ)

財産の洗い出し、遺言書の作成、家族での話し合いは、一人で進めるのは大変です。

行政書士に相談するメリット

  • 財産目録の作成方法をアドバイスしてもらえる
  • 遺言書の作成方法や形式について相談できる
  • 相続に関する法律知識をわかりやすく説明してもらえる
  • 家族での話し合いの進め方についてもアドバイスできる
重要:早めほど選択肢が広がる

親が健在なうちに準備を進めることで、やり直しや修正が容易です。また、親の判断力が十分なうちに遺言書を作成することで、後々の遺言能力に関する争いも避けられます。